第47章 Re:birth …II
「真冬」
「ふむん?」
真冬が私の手を掴まれる、から繋ぐ、に変えて隣へと座る。
一瞬手を解かれるのかと思ったから、真冬を見据えたままだ。
「勝とうと思うのなら勝てる?」
「勝とうと思うのなら、勝てる」
私の言葉、探偵社の損害を考慮せずに、
『していい』範疇であれば––––
否。
それだと、ポートマフィアの流儀と何ら変わりないじゃあないか。
「……出来るのなら、ポートマフィアと武装探偵社が戦わず、あわよくば協定できるくらいの余裕が望ましい」
「そう上手くいくかよ」
真冬がくすくすと笑った。
彼女とて身に沁みるほどに理解している。
ポートマフィアが協力なんてする訳も、道理もない。
すべてが逆さまになるこの地に来たと言え、敵戦力に三島君がいるのなら中和される。
つまるところ、今のうち三島君をどうにかしないとこの局面に横たわる問題は対処できない。
「……何か、ないか」
「……そうさな……」
真冬がちょっとだけ瞳を伏せて。
打開策を考える。
ここはヨコハマではない、だからといって
ポートマフィアが暴れないという保障はない。
「考え方を変えるとすれば……
ポートマフィアと武装探偵社が何か、協力せざるを得ない状況にもつれ込むか、
あるいは……なし崩し的にそうなるか」
「……誘導するということかい?」
「出来そうなら、さね」
私は考える。
どうしたらいい。
どうしたらいい?
「––––あ」
私が突然上げた声に、真冬が見つめて来た。
「あるかもしれない。
相手が私の指示に従ってくれるかは、少し判らないけれど」
小型電子端末の、連絡を取るための画面を開き––––
あ行にある、その少女の名をタップした。
連絡先が映し出される。
「三島君がいるというのに、この子が居ないわけないだろう?」
私の言葉に真冬はどこか考え込むように下を向いた。
「……むぅ、先の戦闘では見ていないな……」
「真冬がしていたように、哨戒かも。
単独行動が得手だからね。
あの獣の異能力は」