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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第46章 Re:birth …I







––––とん、と中也がどこかのビルの屋上に着地して、ふと前を仰ぐ。



三島を降ろしてやれば、彼もその、

銀色の落下防止柵に


優雅に座った人影を見据えた。




「……三島」

「嗚呼……うん」



時刻は夜の11時。

ポートマフィアの彼らにしてみれば、常人の夕方ほどの時間だろう。


夕方、つまりは逢魔時。



二度あることは三度ある。

なんだか前も、こんな事になった気がしないでもないが……



屋上フェンスに腰掛けた、夜闇に溶ける黒のフード。
黒い外套に、ショートブーツ。

得物は、暗くてよく見通せない。


……近接…か。


中也が三島の前に出て、その人影を睨め付ける。




「手前ェ何者だ」

「––––……」

「ハ。黙りかよ」


目深に被ったフードの向こう、
目鼻立ちはおろか全貌さえ判らない。


中也がチッと舌打ちして、続けた。




「さっきから俺らの邪魔をしてくれたのは手前か?」

「……」

「沈黙は肯定として受け取る」


相手は何も言わない。




背後の三島は、相対する黒い人影を
検分している最中だったが…、

月の出ていない夜に黒色を纏う人間の顔を視認するのは困難だ。




「これだから横槍ッつーのは……」


中也がギュッと革手袋を鳴らしながら呟いた。

ここは屋上だ。
上手くいけば良いが……



「そうだね。ここでこれは興ざめだよ。

……でも中也、相手…」


「手練れなんだろ?」


三島がうなずく。



相手の人影には隙がない。
立ち方ひとつ、腰掛けている姿ひとつ足りとも、隙がない。

闇討ちしてくるということは、夜目に長けた暗殺者。



「……ちょっとだけ分が悪い…かも?」

三島の言葉に中也が不敵に笑った。


三島と中也がその場にいれば、取り敢えずどんな戦場でも何とかなってきた。

それが今更、壊れるわけもない。




「これ以上余計な茶々入れられて破壊工作だなンつぅのは御免だぜ。

––––ここで仕留める」


「はーいはい……。
ま、それには賛成」


相手の人影も、トンと両脚で軽くフェンスを蹴って、コツとコンクリートの床に着いた。



(顔は……見えない、か。

……それに、和服…?)


その際にちらとだけ覗いた、月光のように真っ白い着物……?






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