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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第46章 Re:birth …I






「手前ェは、」


中也が三島を見ずに呟いた。
三島が振り向いたのが気配で感じ取れる。

お茶を淹れると案内される中で、中也は横を歩く三島に言った。



「……神っつーのを信じたりするか?」

「…子供はさ、七歳までは神さまのうちなんだって」



七つまでは神のうち––––

七五三というのも古くはそれに根付き、
七歳になるまでの子供は神さまに"お返し"することが許されていた。



中也はあまり自身の子供時代のことを覚えていないとはいえ、三島の小さい頃はそれなりに小耳に挟んだことがある。

ヒトの年齢でいう十五歳になるときに、三島は太宰と中也に出会った。


たしか首領とはもう七年の付き合いだというのも聞いた。

森さんが、先代のポートマフィア首領時代のときに、政府の檻の中で見初めた異能力者。


それが……三島由紀夫という、
人間ではないナニカだったと。




「坂島は……

文字通り、『さかさま』から来た言葉だ。
人の死さえも反転させる、奇跡の土地。

そんな中で人が三百人も消えたとなると……」



その存在はいなくなったのではなく、
元から存在しなかったということに逆転する。



(子どもの頃、か)

中也が帽子を押さえて階段を降りる。



「何からお聞かせしましょうか––––」

「そうですね……」


考える三島は、
きっと時間が有限でありながら、聞かなければいけないことの多さに
ほんの少し、迷っている。



「この街には、まだ神稚児の伝承はあるンですか」

「中也?」

いいから、と中也が続ける。


老人は少し眉を下げてうなずいた。



「あります。
七歳までは、神さまのうち。


もともと坂島という地名になる前は、

田神町という隣の県との
田圃を祀る穏やかな村だったんです」



老人は続ける。



「ほら、近くに永和町というのもありますでしょう。

古くは『永遠』のとわ、と掛けていたり……
七宝町だとて同じです」



七つになるまでの子どもは

神さまの落とし子。


宝だったのだと。





(田神……––––たがみ、……


嗚呼、『多神』か)



三島が独りでに納得し、頷く。



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