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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第45章 泡沫の花 後半…三島由紀夫誕生日1月10日記念






「は?三島が倒れた!?」


遺体処理施設の、何とも言えない饐えた匂いが立ち込める地下空洞に、そんな声は大きく反響した。




太宰からの報告、それはさっきまで俺と太宰と
普通に喋って笑っていた三島の


昏睡だった。



次いつ目が覚めるかは判らない。



以前にもこんな事があって、その時はまだ
予兆があったからマシだったンだが……



「……今、三島は」

《首領の医務室経由で、彼の花畑に返還されたよ。》



返還だなんて都合の良い言葉だろうか。
中也は落ち着いていたけれど、声は落ちたままだ。


さっきまで、一緒にいたのに。



脳裏に、あの何の興味もなさそうな
寂寞感のある笑顔がこびりつく。




「……せめて、真綿が早めに帰って来たらいいンだけどな」


《さあねぇ。
彼女も彼女で、暗殺に手抜かりはないから。》


太宰は、と聞けば首領の医務室にいると答えた。




《取り敢えず衛生面は万全なのだけれど、
三島君の感情のストックがないみたいだから私が提供してくるよ。》


太宰の言葉に身体が固まった。




「は!?待てっ!」

《え、なに?》


「手前ェも……
目覚めなくなるかもしれねェぞ」


中也は処理施設から出て、太宰の執務室へと早足で戻る。


この様子だと、太宰は自分の部屋に何かを置いて来た。
後に残される人のために。


《それは重々。
多分、今日明日くらいは》



……太宰は、真綿以外の人間はどうでもいいのかと思ッていた。
実際そういう節目があったし。

三島も、なぜかあの暗殺者の彼女には色々緩かった。



なのにどうして––––




《……頼んだよ中也。
ちょっと任されてよ。

三島君は……私たちの……も、…ちだろ》



「は?オイ!」



ガシャッと通信機の向こうで

向こうの通信機が床の上に落ちた音がした。




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