第45章 泡沫の花 後半…三島由紀夫誕生日1月10日記念
彼の在り方––––
そんな事柄について話したとしても、きっと終着はつかないだろう。
むしろそれこそ甚だおかしいというか、無駄というか。
混沌の中心で寝ている異物というか、
台風の目に包まれた静寂に微睡んでいるというか。
まあとにかく、第三者から言わせればこうだ。
『三島はある意味一番やべー奴』
「いやぁ、美味しかったね。
三島君が途中で妙案というか、そのせいでほぼ闇鍋まがいになったのは全く以つて不可抗力。
というわけで中也片付けよろしく」
幹部命令〜と
太宰が嫌になるくらいに綺麗な笑顔を浮かべれば、中也が辟易したように息を吐いた。
せめて言い出しっぺになった三島は手伝っては…………くれないか。
中也が三島に含みのある目線を投げかければ、それに聡く気付いた三島が薄く笑った。
「いいよ?手伝っても」
「悪ィ」
謝られるよりお礼の方が良いかな、とスマートに返される。
太宰といえば自分の黒革張りのソファーで「ちょっと休んだらコレやろう、コレ!」と
両手で操作するゲェム機をチラつかせた。
十字ボタンに丸型の四つボタン。
画面は二つで、折りたたみ可能なコンパクト型だ。
そういやこの前「この急勾配が」だとか、
「赤い甲羅が」とか言ってたな。
「太宰がはまってるんだってさ。
配管に潜るキャラのゲェム」
いつの間に。
……思考を読まれた。
そばにいた三島は、俺を一瞥もせずにそう言って
布巾でお皿を拭っている。
興醒めしたかのような紺色の目が、一瞬だけ冷えた温度を醸し出す……が、
「……中也?太宰がお待ちだ。
さ、片そう」
それはすぐに塗り替えられた。
矢張りこいつは、よく判らない。