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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第45章 泡沫の花 後半…三島由紀夫誕生日1月10日記念






「狸寝入りとは随分といいご趣味だな、あァん!?」


「いやいや、女の子だったら夜這いはむしろ役得だし良かったけれど、
中也ずっと前から……僕が髪を切った日から、すごく不機嫌な顔してたしさ」


真綿だったら寝首でも掻きに来たのかも、とか
容赦しないで手を引いて丸め込んでいたかもだけれど。



「やっと君の気持ちが聞けた。
何度も言おうとしていたの、この僕が気付かないとでも?」

「いや……ンな訳、ねェよな」

「そうだとも。ないんだよ」



大した自信だよ––––

中也が笑う。


いや、相手は三島だからなァ。



する、と中也の指が三島のミルクティー色をたぐった。

伸びたとはいえど、元の長さにはだいぶ足りない。


あの時のエリス嬢の泣き喚きっぷりと首領の目線といえば、もう二度と味わいたくないモンだ。



「だから、もうするな」

「気には留めておくよ」

「素直に頷いときゃァいいんだよ」


面白そうにくすくす笑った三島が身体を起こした。


こうしていれば、三島は人間にしか見えない。
あの虫けら風情でも見るかのような目が、外に向かない内は。


あの時の怖さなんて微塵もない。



ただただ女に甘ったるくて、
洒脱とした穏和で理性的な青年。




「……なんか焦げ臭くないかい?」

「だよなァ……」



生粋のトラブルメーカー太宰に、火の元を見させたのが運の尽き。

どうして任せた。
今更悔やまれた。




「あーーっ、あー!
何でガスボンベから火ィ出てるんだよ!」


「いやァ、ついつい不思議に思ってしまってねえ。

キングサーモンっているでしょう?
あれってメスでもキングなのかな?
クイーンサーモンじゃない?」


「火と全く関係なくない!?」






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