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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第45章 泡沫の花 後半…三島由紀夫誕生日1月10日記念






パリパリとガラスを踏みながら、ひどい音酔いで昏倒する元ポートマフィアの彼らを通り過ぎた。

耳のすぐそばで破裂した音波により
鼓膜が破れた人もいるだろうが、そこはそれ。



「部下に始末を連絡しておいて、中也」

「はいはい」


わざわざ太宰や三島、五大幹部の手を煩わせることもなかろう。

ポートマフィア式の制裁方法は決まっている。
それさえ守れば、それでいい。




「それで、終ぞ残ッたのはリーダーだけか」

「私、思い出したのだけれど……それってさ、確か––––」


異能力を展開し、上司の前を行く中也の後に続き
太宰は三島にそう言いかけて言葉を切った。

否、切らざるを得なかったのだ。



「嗚呼、嗚呼!やっと…きたのね」

甲高い女の声。




ポートマフィアに女性構成員は確かに少ないが、いないわけではないのだ。


真綿だって暗殺業ゆえに女性であることを隠していない。
確か作戦参謀あたりに、ハニートラップ要員もいたはず。


ただ、このタイミングなのは最悪に等しい。

三島は分別をわきまえるが、だからとは言え理不尽な男女差別を厭う。


まるでか弱い花にでも触れるように女性を扱う三島にとって相性悪すぎた。

これには太宰も「わぁ……」だし、三島も「おぉう……」だ。





「嗚呼、嗚呼っ…!愛しい私の王子様!


夜を融かしたような目も、優しい声も好きだけれど、何よりその髪が好きなの。

ふわふわで、花の香りがして、その美しいお顔ごとベッド脇に飾りたくなってしまうの!」


おぉう。なかなかに猟奇的だ。

三島には慣れたものだ。
ついでに言うと太宰も。


「だから死んでくださると嬉しいのだけれど…。
ずっとずっとずぅっと、私のモノでいられるわ?」

うっとりとした視線を投げかけてくる。

粘つく温度に寒気がする。



「おねがい。その首がほしいの。
ずっと私のそばにいてほしいの!」

ガシャッと音を立ててその女は銃口を三島に合わせた。
雰囲気だけで流されて殺すつもりだ。

……当の三島は、何も慌てていない。



着ていた外套の内、精緻なレースに彩られた袖内から
手のひらサイズのナイフを取り出した。



「髪か……ま、これくらいなら別にいいかな」








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