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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第44章 泡沫の花 前編…与謝野晶子誕生日12月7日記念






「私に慕われるものとは、買い被りのような気もするのだけどねえ〜……」

当時の私はそう言って
三島君からのはじめての花言葉をありがたく頂戴した。








それから、数年が経った。



「三島君––––、」

恐らく昨夜はエリスちゃんが夜咄をせがんだために

私が用意していた三島君自身の床に着くことは叶わず、少女のベッド脇にいるのであろう。




たしかにエリスちゃんの夢見のために彼を寝かしつける役にしたし、
私よりもまだ子どもであるエリスちゃんの世話役をしてほしいとは頼んだ。

が。


「一晩中守ってくれるのはとても有り難いけれど、君が風邪をひいてしまうよ」





或る日、或る夜、彼がエリスちゃんを寝かしつけている所を見たことがあった。


優しく握ってあげている手、
ゆっくりとした鼓動のリズムで布団をとんとんとしている姿、
究極には、添い寝まで。



「添い寝は、直接体温が伝わりますから。
眠りやすいのでしょう」


だからこそ、エリスちゃんがたとえいつか「初恋は三島君だった」とか言い出したとしても、まあ納得はいく。

残念ながら、エリスちゃんにそのような雑念の類の機能は搭載していないけれどね。




「君は人間的な肉体成長をするが、エリスちゃんはしないんだ。
眠らなければ、君の身体に負担がかかってしまう」

幾ら君がこと夢に関しては得手不得手を把握しているとはいえど。




「僕は眠らないんですよ?
森さんが僕に寝具を用意してくれたのは、倫理的なものと心のゆとりなのでしょうが––––

おおよそ僕は、人間の病や睡眠に疎い」




あれから2年が経とうとしていた。


三島が森邸の夢見屋として仕えていたその時に

太宰治と中原中也を、森鷗外と紅葉姐さんが拾ってきたわけなのだが––––……









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