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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第44章 泡沫の花 前編…与謝野晶子誕生日12月7日記念






ひらひら。


ふわふわ、きらきら。



視界を舞って、端から消えてゆく光の粒。
粉雪のように降れば、花びらが空間に停止した。




「随分と……綺麗な、異能力だ」


少年を見遣る。



その紺色の瞳に、真っ赤な花びらが映り込んだ。

興味無さそうに、花びらは無惨にも散ってゆく。





「……およそ僕に、特A級は似つかわしくないとおもわれるでしょう?」


初めて意味を伴ったその声音は、人間のものだった。





「先ほどは申し遅れました––––
僕のなまえは、三島由紀夫です」


年相応に、改まってはいるけれども
子どもじみた言葉使いをしている。


脳内で少年の言葉を理解する時に、自然とひらがなに変換されるあたりが。



私はふふと笑った。

そして、その目線にまで腰をかがめる。





「丁寧にありがとう。

私は森鷗外。

君を政府の檻の中から見初めて、身柄を引き渡してもらった者だ。」



「なぜ、わざわざ僕をそこまで……?」


少年がわずかに首を傾いだ。

効率の悪そうなことである。
人間ひとり、なんら人生に影響なさそうなものを。

そう言いたいのかな。




「何でだろうね。
私について来られる部下がほしかった––––とか?」


「さあ……?」


否、マフィアとしてではなく……あれ、何でだろう。
私は今、何を言おうとしたんだろう。


三島君、判る?


エリスちゃんの夢のお守りをしてもらおう、というのもあったのだけれど…






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