第43章 月は綺麗ですか…江戸川乱歩誕生日10月21日記念
「それでさ、そのあとこっ酷く叱られたんだよね〜……」
「嗚呼、そんな事もあった。
随分と懐かしく思える。
乱歩、お茶だ。晶も」
月が欠けて
太陽が昇らなくなって
真っ暗闇の地上になり果つる時も
夜明の光を捧げましょう
「ありがと、真綿」
「なんだィ、社長がそんなに叱るのなんて滅多にないのにねェ」
盆に乗せられた湯呑みを渡して、真綿が笑う。
乱歩がふうと息を吐いてから呟いた。
「うん。怒鳴るタイプじゃないんだよ。
僕は一度された事あるけど、真綿は女の子だろ?」
まだ見ぬ太陽が
より力強く煌めけるように
太陽は貴方の行末を照らし出し
出来た影に潜めるように
点々とこぼして行ったものを
さあ、最後の約束を果たしましょう
……「さんざ僕たちを探し回ってくれたみたいでさ。
家にいた僕たちに向けた眼光といったら、まるでチベットスナギツネみたいだったよ!」
「いやさ、それは…そうさな、
どちらかと言えば軽蔑だと思うのだが……」
「まあ、そんな目を向けたくなるのも判るけどねェ」……