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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第6章 花園紳士


「森殿、妾だ。 このような朝早くにすまないが」



コンコンコン、とその重厚な扉をノックした。

エリスはまだ寝ているだろう。



「入り給え」


その声が扉の向こうから聞こえ、その両開きの扉を開ける。




「……おや、おや。

これはこれは、三島君じゃあないか」


森が『彼』の登場に、言葉ほど驚くこともなく言った。




「はい。 首領が、次の任務で僕を使うって仰ったから」



「それで来てくれたのかい? そんな怪我の身で?

……嗚呼、そうか」



森が、三島の横にいる真綿を見遣った。


真綿は三島をソファに座らせたあと、自身の正式なあるじの後ろへと控える。




真綿は、マフィアの森ではなく 森個人に仕えているため

彼を首領と呼ぶことは一切ない。



「そっか、そういうことか。

ありがとう真綿君。一足先に仕事を片付けてくれたわけだ。」



私が言う前に、とその言葉は、言葉にはならなかったけど。

三島の虚ろな紺碧の瞳が 森をすっと見て、逸らされた。




「それで、次の任務の資料はすでに諜報班が?」

「うむ」



三島の言葉に、真綿がファイルを開いて、机に置く。

三島は左手をギプス固めており、右足も松葉杖に頼っているのでまともには使えない。


頭部にも首にも包帯三昧、頬にはガーゼが貼り付けられているときた。

あの自殺愛好家の太宰よりもちょっと重傷だ。




「……へえ。そう…」



計画書を興味の宿らない目線で見つめる三島。

その怜悧な紺碧の瞳が 今回の任務の人数欄を見たところで……




「……えっ、わっ、真綿も出るのかい?」

「む? 嗚呼…」



へえ…と驚いた、もしくは嬉しそうに 少しだけ微笑む。

非常に行動は紳士的だった。




ふわりとその肩に羽織る外套の 精緻なレースがゆれる。

可愛らしいが、緩やかな彼には似合っていた。

そのささやかな和柄は、やはり真綿の着物の柄と どこか似通っている。




「そう。 真綿が出るのなら大丈夫だよね。そうだよね。」



この敵規模400人とかも、大丈夫なんだよね?

これにはちょっとだけ目を疑ったかもだけれど。



三島は、さっきとは打って変わって楽しそうに言った。
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