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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第43章 月は綺麗ですか…江戸川乱歩誕生日10月21日記念






沢山の命を刈り取った。

沢山の首を並べてきた。




『お疲れ様。有難う、真綿君』


手の内に隠した狂気も凶器も
その一言で払拭されてしまった夢をみた。


正夢なら、何と幸せな末路だろう。

きっと最後に見ることを許された夢とでも思うかもしれない。



跪き、己の持てる力の全てを捧げた。

どれ程、この手を汚そうとも
どれ程、この血を流そうとも


『御心のままに』

顔を上げた自分の目は、どれほど闘争に飢えていたことだろう。



主人と認めん者、聞こし召す者なり……

冠位を棄て去った自分はもう、主人の声を聞くだけで良いのだから––––……



『いつもいつも酷使してしまうねぇ。
ほんの少しくらいならお休みあげられるから』

『そんな御暇はないのではないかや?』



マフィア流ブラックジョークである。



喜んで争いに身を投じる彼女にしてみれば
一時の休息など蛇足に過ぎなかった。

血で血を洗うように、彼女にとっての休息もまた争いだったのだから。





「だから妾は、福沢殿に仕えてふと思ったのさ


福沢殿は、妾に暗殺の主命を下さない。
妾にとって誇れるものなど捨てた身であれ、手癖は覚えていよう。



それを…必要ない御方なのだとしたら

妾は一体、福沢殿に何を返せる?」




自分の腕に感じる華奢な女の子の体温。

そうか、そうだったんだ。



「うん……」



すり、と真綿の肩口に頬を擦り付ける。

真綿の独白を聞いて嬉しくなった。


真綿はもうとっくのとうに……




「ねえ、なら、僕が……」



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