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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第43章 月は綺麗ですか…江戸川乱歩誕生日10月21日記念







「乱歩?」

「血」


その翡翠の瞳がきゅっと細められる。


眼鏡を掛けていない瞳の瞳孔は真綿の身体を見ていた。





「血の匂いがする……ほんのちょっと、微かにだけど。」

傷開いてない?と乱歩が真綿の手を引いた。

こうして先程から無遠慮に連れ回しているからこそなのだと、その時はまだ知らなかったらしい。



「乱歩が気付くくらいさね。
妾も今判った」

「痛くないの…?」

「仕事柄痛みには慣れている」


そういうことじゃない!と大きな声を出してしまいそうになったが、すんでのところで堪えた。

慣れちゃだめなものって、沢山あるよ。
痛いことを痛いって言えない不遇さは、見ていられない。



「真綿はさ……もう僕たちの家族なんだから…身体、もっと大事にしなよ」

「かぞく」

「そう、家族でしょ?もう」


面食らったように真綿の言葉が詰まった気がした。


そんなにおかしなこと、言った覚えないんだけど……?




「ねえ、真綿」




その黒瞳をゆっくり見据えて
中に蟠る澱みを濾すが如くにっこりと笑いかけた。


「まさか、家族だなんて思ってなかった〜なんて言わないよね?」


僕の言葉に
真綿のぴくりとその華奢な肩が揺らいだ。



ありゃ、珍しい……
なんて断言出来るほど気を許してはくれていないみたいだけど

図星を包み隠さず教えてくれるなんて。




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