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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第40章 曖昧……III







久しぶりに夢を見た。




夢の中の『かれ』は、いつだって曖昧に笑って、ふっと飛ばした花びらを雨のように降らせてくる。




「こんにちは。
そしてこんばんは、久しぶり」

「……由紀」



濃紺の瞳。

ミルクティー色の柔らかな髪に、目立つ包帯の白。




「君のいう由紀は、2年前の生き写し。
今現在の僕が再現されているわけじゃないよ」

「じゃあ、過去から2年後の妾と話している感覚なのかや?」

「まあね。」

それにしては容姿がまったく変わってなさすぎると真冬が苦笑した。




見渡す限りの虹色の花畑。


舞う花びら。

極彩色の天空。





「君の思考回路は、僕の夢の中において読めて当然の事なんだ。

刻の停まった悠久の楽園で、僕が成長するはずもない……でしょ?」


「そうさなぁ」

かれは真冬に跪き、恭しくその手を取った。

愛しい者にする行為、と誰もが理解している。





「さ、行こう」


夢の中でその番人に合わなければ、永遠に覚めることはない……だとか。





「キミに問題。


ここに、正直者と嘘つきがいる。

正直者は真実しか肯定せず、嘘つきはすべてを否定する。
瓜二つの二人を、いったい一言でどう見分ければ良いと思う?」



かれはそう尋ね、真冬を見た。

黒瞳はそんな紺の双眸を見返す。






「正直者でも嘘つきでも良いけれど、『正直者かと問うたらはいと答えるか?』と聞けば良い」





「正解。

真冬。


キミが、初めて僕の夢へ迷い込んで来たときにぶつけてきた質問だったよね」








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