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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第39章 掠取……II






「嗚呼、そうだよ小さなレディ。

こう聞けば良い。

正直者でも嘘つきでも、どちらでも。


『キミは正直者ですか?と問われたらはいと答えますか?』ってね」




ええ、その通りなの。

正直な人なら『はい』だけれど、
嘘つきは『いいえ』を『はい』に塗り替えるもの。

一周まわって、やっぱり『いいえ』に落ち着くの。

(嘘つきの答えはいいえだけれど、嘘をつくからはいと答えなければいけないが、それをいいえと答えるのが正解)


だから、嘘の嘘。




「嘘の嘘は、逆転するものね」

「ふむ、7分だ」

ユキが手にした金細工の懐中時計は、帽子屋うさぎのものみたい。




「更新出来なかったわ」

「むしろ、答えを諦めないでちゃんと導き出したあたり、誇って良い」


道端の花を摘み取った。

練り切りで出来ている繊細な食感の和菓子の花びらは、しおれることなく勝手に花かんむりとなった。




「すてきな魔法ね、ユキ」

「僕の領地だからね」


嗚呼、私の王子様。

その紺色の瞳は、何人の女の人を映してきたの?





「ダメ。
その想いは偽物だよ。
君を巣食う、悪い害虫だ。」


「…………ユキ?」




嘘つき、嘘つき、嘘つき!




頭に流れ込んでくる声はだれの声?

あなたの声?



それとも、あなたのココロを占拠する人が、もうすでに


いるんじゃないのかしら?




ぐらぐらとベリーの運河が揺らめく。

耳障りな音を立てて飴の小舟が無惨に砕け散った。




「恋をしたの?すてきなマッドハッターさん。」

「そんな事、シリアルキラーに言われてもなぁ」

「悪人は恋をしちゃダメなんて事はないのよ?」



ミルクティー色の髪が翳って、暗く映る。

虹色の雨粒は激しくお菓子の国を打ち壊し、揺り戻しを促してくる。




「……おや、もうこんな時間だ。

ゆっくりお休み。そしておはようエリスお嬢様。」




恋をしたの?の返答は

意図的に避けたみたいな気がしたけれど。








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