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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第38章 消滅……I






その味を知っていた。



きらきらで、ふわふわしていて

あの女の子の言う『甘いのに苦くて、心に絡みつくのにすぐに解ける粉雪みたい』を持っていた(ような気がする)味を。





––––私は、三島幹部を愛していますから。


はっきりと僕の目を見て伝えてくれたあの言葉を、別の誰かにあげようなんて思わない。


だからこそ、



「……何でだろう…」

「上橋の真っ直ぐなところは、三島君苦手だったんじゃなかったっけ。」

「そのはずだよ」

僕の目を見ることが出来る上橋が、よく判らなかった。

日頃あれだけ判ったように話しているというのに。


あれが人間なのだと当てはめていた。




「太宰、君は昔の上橋が大嫌いだったね」

「今も好きじゃない。
昔のあの子よりはマシだけれど、今だってまだ、生易しさが中途半端なんだ。」

「それを割り切るのは、上橋には酷だと思うんだけどなぁ」


三島が笑う。




「大切なんだよね」

「そうだね。大切なんだと思う」


「好きなの?」

「判らない」


早々に解答を放棄した三島は、きっと彼の中では納得なんてしていない。
思考は人間の最高の機能だという。



それが出来てこその人間なのだと、彼は知っている。

それを放り投げることの一大さを、彼は知っている。




「いないと不便なんだよね」

「それを、中也と賭けているところなんだよ」


「は?」



中也、その言葉を聞いて

夢の中の太宰はまるで本物の太宰治をなぞるように嫌な顔をした。




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