第38章 消滅……I
「––––––……」
中原幹部から受け取った報告書を届けに、幹部執務室に出戻って来た。
三島幹部の執務室は病室も兼ねていて、というか病室を改造したものだからこちらが主。
ノック三回の後、応答を待つ。が。
「……幹部?」
いつもならこの時点で返ってくる声があるはずなのに。
返ってこない。
ここにいるのは判っている。
背筋に冷たくて嫌なものが走り、もう一度扉を叩いた。
まさか
もしかして
「三島幹部っ!」
例えもう眠られていたとしても、返事は返ってくるのだ。
返ってくるはずなのだ。
まだ少しの抵抗があったけれど、焦りの方が上回った。
この手が重厚な扉を押し開いた瞬間
ざあっと風圧で舞い散った花の花弁が、天球に吸い込まれてゆく。
現実世界とは思えない。
「……っ––––?」
その光景を目にしたとき
私の頭にどうしようもなく処理し切れない眠気の靄が掛かる。
つよい。
いつもの戯れのような異能力より何倍も強くて眠い。
抗っても引きずり込まれる。
私の勝手に意識が眠ろうとしている。
引っ張り込まれる私の意識が完全に囚われたとき、眠りに落ちた私の体を誰かが支えた。
誰かが、だなんて
この花畑では一人しかいないのに。
「……幹部…、夢の、中、に……」
いらっしゃったのですね
倒れていたりとかしていなくて
良かっ––––……