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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第5章 そのバーに集まる影





森からの紹介と、織田の声に、真綿が頷いた。


「名と所属、その他諸々は調べ済みさね。
その男が、こちらに危害を加えないことも。」


「そう?」



にこりと笑った森が、エリスと真綿を
部屋に通して織田に、話の続きをし始める。



個人所有物の真綿には、こうしたマフィアの情報は筒抜けなのだが……
何しろ飼い主が森なので、その辺りはむしろ合法化してしまっている。



森は、真綿とエリスがこの場にいて、
話を聞いていることを良しとしながら

織田に続きを話し始めたのだ。



「…えっと、何話していたのだっけ?」

「しらない」


エリスがスカァトを脱ぎ散らかし、生ごみを見る目で森を見た。



真綿が

「人探しのことさね」

と言いながら、散らかった幼女服を拾い集め、エリスに手を引かれてゆく。


エリス専用の遊び場の扉が、音もなく閉められた。




真綿の行動の端々から、真綿が『できる』ということを悟る。

微塵も油断のない動きに、間の取り方、あるいは視野まで。



織田が真綿たちの消えた扉を一瞥してから、森に視線を戻した。



「そうそう。そうだった。
うん、さすが真綿君。

織田君は、真綿君に指導受けたことなかったはずだよね」



「はい」



織田と呼ばれた青年が、直立不動を維持しながら答えた。

彼の赤い髪ががその振動でわずかに揺れる。



「彼女は良い。とても素晴らしくてね。

残念ながらマフィアの一員ということにはいかないのだけれど。」



「……?」



でも幹部では、と織田が尋ねる前に

森が、落ちかかった前髪を掻き上げ、微笑を浮かべる。




「真綿君はね、単に、私の個人雇いだから。


マフィアにいるのはあれだよ、フェイク。
それに、真綿君にとって、ここにいたらきっと効率が良いからね。」




それは初耳だった。


織田作之助という自分が、このポートマフィアにおいて、

最下級構成員だから知り得ない情報かもしれない。



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