第35章 荘厳は淑やかに
「んっ…ッ、く、ぅ……!」
タオルを唇からこぼした真冬に、その声を抑える術はない。
曇った鏡に両手を着いて、
噛み締めた唇から声が漏れ聞こえた。
真冬の両目を覆うタオルを押さえつける左手はそのままに、右手をぎゅっとその華奢な腰に回す。
ぽたぽたと真冬のナカからとめどなく溢れる愛液は、排水口に流れ込んでいった。
「いつまで我慢……出来るのか見ものだね……?」
釣り上げた口角に舌を這わせて、真冬の綺麗な首を舐った。
徐々に耳下へと舐め上げるように舌を運ばせる。
右手に感じる真冬の真っ白い腹部の鼓動が愛おしくて、己の腕の中でびくんと腰を震わせた真冬を掻き抱いた。
自分の熱を持ったものがちゃんとそこを本能で探り当て、
迷うことなく内腿に先端を擦り付けてから、少しずつ体積を埋め込んでゆく。
「んん…ッ、あ、ぅっ……!」
苦しそうに声を喉から押し出す真冬。
このままでは呑み込まれる。私が。
自分の昂りが膣の体温に紛れ込んで、本当に私と真冬がひとつになってしまったみたいだった。
「きっ……つ、あんなに解したのに狭……!
真冬、私とするの久々過ぎて緊張してる……の?もしかして……?」
だとしたら脳が焼き切れそうなほど嬉しい。
覆われた真冬の両目は今は見られないけれど、ものすごく今見たい。
「んっ……は、力……抜きなよ……」
「ぉさ、む……」
嗚呼……愛おしい。
君の心はいつまでたっても、永遠に手に入らない癖に。
気に入らない。
自分がどれだけ渇望しても、手を伸ばしても心は手に入らなかった癖に。
「愛してる……」
「…………」
私の言葉に真冬は何も言わない。
そんなのってないよ。ずるい。
奥の方へと進めた昂りの感触が、真冬のお腹側から手触りで伝わって来た。
真冬の深いところに自分が埋め込まれている事に高揚感を覚える。
「愛してる、愛してる……愛してる……!」
「……妾、は」
震えた声で真冬が唇を開く。
……本当はね。
心以上に欲しいとか、望むものなんてないんだ。
搾り取るように狭まったナカに、私は息を吐きながら白濁を流し込んだ。