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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第34章 甘くて苦いもの





「ゆ、幽霊っ!幽霊だ!お、おい太宰、行け!」

「え!?」


夜の靄がひどい廊下には

乱歩さんの声と国木田君の悲鳴、生徒たちの声……に




「行け!目上の人の言うことは聞くものだ!」

「い、いやでもさ、この幽霊……なんか……
近付けば近付くほど大きくなってない!?」


「というかッ……」


兄の方、潤一郎君がきょろきょろと辺りを見回した。
夜の霧なんて不吉すぎて、妹のナオミちゃんも震え上がっている。



「な、なんか幽霊も、こっちの人数が増えると増えてきてないですか……!?」

「何だそれは!?」


逃げましょうと兄妹が国木田君の服を引っ張り、守衛も退路に懐中電灯を向けた。
後ずさる4人のぶんだけ幽霊も消える。


太宰が何やら考えていたが、

「え?」

ばたばたと後ろで逃げる音に振り向いた時、そこには誰もいなかった。



「うわー……まさかの?」

「置き去りですね」

太宰の呟きに乱歩が冷静に答えた。



ここにいるのは、逃げ……戦略的撤退をしなかった太宰と乱歩。

霧の中、幽霊は……


3人?




「乱歩さん、もしかして霧の向こうに『真冬さん』て方いるんじゃ」


「取り敢えず、この幽霊なんとかしなきゃ!」


「何とかって!?」





それはと乱歩が廊下の向こうをバッと振り向いた時


霧がばっさりと切り払われた。




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