第34章 甘くて苦いもの
「リーク……とは、まあ、言えなくもないか。説得力ないしね」
三島が眉を下げて、そう呟く。
情報を横流ししたのだとしたら、それは組織への謀になってしまう。
「タレコミっぽく偽装するのはまあ割と何とかなったけれど、限度があってね。
でも、首領は僕のその行為を看過してくれた。なら、その手段は良かったって事だろう?」
こういう所が本当にいけ好かない。
抜かりないのではなく、底意地が相当に醜悪過ぎる。
「チっ……そンで、誰に情報をくれてやったんだよ」
「それは––––––……」
僕があの廃病院についたあとすぐ、別の誰かも訪れていた。
その人が例えば武装探偵社の人だとしたら、武装探偵社の誰か違う人に伝われば良いやと考えた。
……まあ、その前日上橋から、別の一件について
『武装探偵社じゃないか』という話は出ていた。
それに最悪武装探偵社の人でなくても、こうなっていた。
「ちょっとした古い友人にさ」
そう言って肩を竦めてみせた。
彼なら、僕がこうした意図を察して、すぐ行動してくれるだろう。
実際、こう新聞に大きく取り上げられるという成果を成した今回、彼は矢張り頭の回る良いライバルなのだ。