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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第33章 Carmine tears






確か、



「二つ。そしてこうとも言われた。
僕がその人のことを聞いたら、個人情報だから黙秘するけど僕らとと同じ異能企業だって」


見た目が少女だった、と。
そしてその上司の方の頼みだったらしい、と。




「異能企業って言われても、この辺の異能企業がことごとく尽力しているわけだし。
でも、そっちに、ものすごいのがいるとは昔聞いてた」




僕が取りに行ったもの。

そして、この彼女が取りに行ったもの。


それは。





「この辺りの、しかも大戦前の……白地図だよね?」

「はい。合ってます」



真冬から聞いていた、あのバージンキラーのアジトはもと病院だった。

それが判ったのは、真冬は自力調査だったけど、僕は地図を貰いに行ったことから。




そして、僕より前に来た人も、同じように考えたから、

彼女に地図を取りに行かせた。


つまり、真冬と同じく……バージンキラーの本拠地を自力で見つけ出して調査していたということになる。


––––怪物。




「……だいたい判った。というか、これで全部すっきりした!

そっかそっか、その人があの彼か!
だから君が取りに行ったのか!」

妙にすっきりした顔で
成る程これは凄い、と素直に感心している彼は、まるで子どもだった。



「はあ……貴方が乱歩さん、ですよね」


途中で別れたあの金髪の彼が、そう呼んでいたはず……




「そう!稀代の名探偵、この僕、江戸川乱歩の名前を覚えておいて損はない!というか得しかない!」

腰に手を当ててふふんと意気込む彼は、よほど今まで難関を乗り越えて来たのか、自信満々に笑った。




「では、乱歩さん。宜しければあの金髪の彼に、
『ありがとうございました。』と言伝をお願い致します。 」

「嫌だよ、そう言うのはちゃんと本人に言うものだよ?」


それはそうですが、と呟いた。


私と彼らの壁。

厚く聳え立つ、超える事のできない一線。




「……そこを、どうか。お願い致します。


だって、次にそれを伝えるとき……

私たちとあなた方が敵だなんて、悲しいじゃないですか」




今度こそ私は、体育館から出て行った。




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