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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第32章 Vermilion Bullet ……II






チカチカと明滅するか細い光。



「––––っ!しゃがめ菜穂子ッ!!」





その光がなんだったかと頭の中で思い出し、

該当する武器やら符丁やらと照らし合わせたとき……




一つだけ、この現状であり得て、

尚且つそれしかないという確信があったもの。






それは––––––





「狙撃だ!」



中也が言い終わる前に、それは飛来した。

(マズルフラッシュ……!)



甲高い風切り音を立てて、過たず
片腕のバージンキラーの頚椎を引き千切り

喉笛を正確に狙った一撃が、強引に首を掻き切った。




「くっ……!」


見えない遠距離の相手に
恐慌に駆られそうになった菜穂子だったが、すぐさま身を翻して地を蹴り狙撃のレンジから離脱する。



狙撃銃の測距儀は倍率が高ければ高いほど良い、というものではない。

それだけ手ブレや微かな標的の移動、風が影響し、狭い視界からアウトするのは確実だ。


異能を使えば超高速で動ける菜穂子などは、狙撃者たちの天敵とも言える。



直後、菜穂子の前方に滑り込んできた
四十人の中の一人のバージンキラー、その着地点に弾丸が穿たれる。




ぢん!と弾がアスファルトに当たって跳ね、バージンキラーの進軍を牽制させていた。


足の置き場に弾が食い込み、バージンキラーが姿勢を大きく崩す。




「小賢しい……!」


そう悪態吐くように吐露したバージンキラーが前方へと転がり跳ぶ。



その勢いのままに無理やり前方へと転がったバージンキラーを追うように、二撃目、三撃目、と鋭い狙いの狙撃が詰めた。





「本命バージンキラーが死んだっつーことは……」


ごろりとまるで戦乱の世みたいに転がった生首を一瞥し、



置いてきた女医を見遣ると、彼女の周りには
事切れたようにバタバタ倒れるこいつらがいた。




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