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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第32章 Vermilion Bullet ……II





「糞、多い……」

「今に始まったことじゃないってェ……の!」


ごんと振り回した医療用鞄が次々沸くバージンキラーの
後頭部にヒットし、脳震盪を起こしてばたりと倒れた。




「ねェ、あんたのあの部下の少女、本命一人ッてきつくないかィ!?」

「仕方ねェ、こっちの露払いこそ一人じゃ無理だろ!」



ふと向こうの、菜穂子がいる方を見れば

幾度も土煙が吹き上がり、相当な長期苦戦を強いられているのが判る。




「なァ、あんたも異能力者なら今回の一件噛んでるンだろ?
仲間と来てねェのか?」

「来てるに決まってるだろ。でもねェ……」


中也の重量場が人数の多いところに形成され、一息に叩きのめす。

中也が帽子を押さえ不敵に笑った。




「向こうの体育館で避難民と、眠った奴らの介抱をしてるから今しばらくはこないと思うけどね」

「嗚呼ッ糞、三島の野郎めとっとと目覚めて来い!」


ドォンと菜穂子の方から瓦礫の爆散する音が鳴り響いて来た。

金属の音と焼けるアスファルトを踏む音。




「……三島ッて?由紀のことかィ?」

「……やべ」


ついぽろっと口から衝いて出たあいつの苗字。

この女医っぽい奴には、自分の詳細は秘匿しとけって言われていたか……






「……可笑しいねェ……三島で由紀ッつったら、
妾はすでに一人……そういや太ざ」





中也が勘繰られるのにサッと嫌なものがさした時、


「中原幹部っ!」



向こうから菜穂子の切羽詰まった大きな声が聞こえて来て、

奇声と満面の歪んだ笑みを浮かべながらこっちへ全力疾走してくる本命バージンキラーがいた。




まるで、男というだけで殺すという値に在る中也を

親の仇のように見つけ出したのだ。



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