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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第32章 Vermilion Bullet ……II






「ふー、こっちの避難は完了……っと」


ぱんぱん、と太宰が手を叩いて煤を落とした。


外套や靴についた煤は、街を焼く業火が毎秒量産している。




「それにしても……あっちの並木の方は消火されてるのか。
向こうから行けば良かったかな?」


そんな事を言いながら、社長との合流点である交差点へと向かおうとした。

あの時、社長は帯刀していた。

だから、バージンキラーに襲われても切り抜けられるだろうけれど。




「……否、救助の片手間にバージンキラーを除けるのは無理がある」


先ほど、私と社長が会った時、双方とも両手に昏睡した市民を抱えていた。
と言うことは社長は恐らく、今も両手に市民を抱えている。



だとしたら……





「……今、何か声が……」


早く社長の所に行かないとと思ったけど、今の声は聞き違いなんかじゃない。



「……て……!」


聞こえた。

ずしゃ、と燃え盛る瓦礫が崩れる中、地獄のような熱さに包まれる道路を渡る。




「な……」



燃える木々やアスファルトがばら撒かれている中

一つの見事に横転した軽自動車がそこにあった。



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