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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第32章 Vermilion Bullet ……II






「けが人はこっち!
処置が済んだ方は物資を貰ってってー!」


「慌てないでください!
にしても、何だこれは……!いきなり市民の大半が眠ったぞ!?」




ばたばたと乱歩、国木田が市民体育館内を走り回る中……

目の端から人々、子ども、大人も分け隔てなく倒れてゆく。




「たぶん、この騒ぎに乗じた暴徒化防止のために、
異能力の抑止力で誰かが集団催眠を掛けた……というのが妥当なところだけど……」

「な、この人数を一気にですか!?」




確かに、走ってくる過程で転んだ人やパニックになる人も多い中……


この効果は鎮静にして沈静、


たまたまこんな現場に居合わせた人が、
たまたま精神浸蝕系統の異能力保持者で、
たまたまこんな広範囲をカバー出来るほどの力を持っていたということになる……





「偶然は二つまで。
三つめからの偶然は、それは意図になる。」


乱歩がその翠玉の瞳を細めた。





「……じゃあ、この術者は……この事態を見越していたという事になりますが……?」

「……取り敢えず、敵じゃないってだけで御の字だよ」




近くの病院……この前訪れた警察病院に、まさか別棟があった時は驚いた。

補給物資がもらえる事は有難いが、裏手に造りの同じ病棟があるだなんて悪意にしか思えない……





「乱歩さん!国木田ァ!

こっちに保護者一人だよ!」





「与謝野女医!」



慣れ親しんだ仲間の声に、二人が駆け寄った。




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