• テキストサイズ

威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第31章 お花畑で会いましょう…谷崎潤一郎誕生日7月24日記念






差し出された少しの束の花を受け取る。



「え、でも……!」


「貰ってくださいますか。
私は、単に自分の上司が最近温室に帰れていなくて……花がないと寂しそうなので」


「ぷっ、何それ……」



花好きの上司のために花を買っただけの、そのおまけでくれたのなら
これは彼女にとってもボクへの気遣いではなく、当然の事なんだろう。





「ありがとう……じゃあ、もらうね」

「はい。花言葉もあるそうですが」


彼女が、花束についていたカードを外し、ボクに差し出す。



「いいの?」

「ええ。 なんだか、私も旧友に会えたみたいな感じがしたので」


カードを開いて見ると、花言葉は……


開いてぎょっとした。




「……ッて!
待って、『純愛』ッて、君がその上司の方に向けて買ったんだったらこのカードは貰えないよ!」


と言うことは、その花好きの上司さんは……男の人……!?




「 ? 気にしませんよ。私は今更 そんな回りくどい手段なんて……」

「ねえ待って、それって照れてるのかな。
なんとなく判ってきたよボク」




まるで学校の友達みたいに
気軽に初対面の女の子と話していることが、とても異様なのに

それが、当たり前のように思えてきて……





「それでは、私はここで失礼しますね。

……会えて本当によかった」





彼女は最後まで笑顔を浮かべることなく

雑踏の中に紛れてしまった。



/ 686ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp