第31章 お花畑で会いましょう…谷崎潤一郎誕生日7月24日記念
「すると人間はどうなるかな?
答えは簡単。
脳が睡眠を欲して、レム睡眠ではなくずーっとノンレム睡眠を摂り続けたがる。サボった分のね」
太宰は、言っているうちからあの彼を脳裏に浮かばせた。
夢の中を行き渡り、夢を喰み、
また夢でしか栄養と感情を摂取できないつくりである彼を。
「人間 一日8時間。基本的な睡眠時間の目安だね。
でも、6時間しか眠れないのを二週間続けたら、マイナス2時間が14日間、合計28時間。
つまり、一日徹夜状態まで脳機能が落ちる」
この記事のヤブ医者は、きっとそれを知っていたのだろう。
にわか知識であっても、医者(ヤブだけど)を名乗るのなら一般常識のこういう事を。
「で、その結果……限界状態の患者たちの脳が休みたくてレム睡眠を押し退けてノンレム睡眠を摂り、
昏睡状態の患者を何人も作り出してしまって、逮捕に至った……というのがこの記事の内容だね」
「太宰さん、もしかして医者のお知り合いいます?」
潤一郎の言葉に、太宰が一瞬 目を丸くし、くすくすと笑みを零した。
首領は知り合いの医者、という範疇に入るのだろうか?
ただ、こういう話を首領とした覚えなど全くない。
そう、この話は……
「いないけど、こういうのは大概、由紀君の受け売りかな」
太宰の言葉に、ナオミがうーんと頭を押さえる。
「ナオミ?どうしたの?」
「いえ……由紀……さん。
何だかこう、聞き覚えのあるようなないような……うぅん」
曖昧とした何かが、語りかけてくるような脳の痛み。