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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第30章 Vermilion Bullet ……I





「オイオイ……、こいつら見境いねェなぁ……」


「不感症よりは良いと思うけどねェ?」


「ハン、そこにいる花畑野郎は人の心を持たねェ時点で
不感どころか無関心じゃねェ……かっ!」





中也の異能力が決まった。


わらわらと群がる焼けて焦げたぼろぼろのコートを纏うバージンキラーが

重力力場に足を踏み入れ、地面に平伏すように一斉に倒れる。




万物は、重力には逆らえない。

一方で 重力に勝とうものなら相対するは水中での浮力であろうが、
浮力は水深の影響を受けない為に 重力のようなシナジーがない。

浮力ではなく水圧、という事なら例外だ。



中也が操れる重力は数値化するようなものではない。

重力が0なら液体の上でだって、気体の上でだって浮いていられるだろう。



つまり、重力がないのなら……時間を遡行して、

いつか夢の中で 運命的に出会ったこの"彼"と 最初からやり直すことだって––––





「までも、そんな深海にいたら水圧で轢死する前に
凍死してしまうよねェ。
さすがに妾の異能力でも、すぐに発動出来るだろうし」


「はぁ?何の話だァ?」




汚れないよう中也の外套に包まれ眠った三島を間に

二人が背を向けあい 防御しながら言い合う。




こっちから仕掛けるには不安定過ぎる。

だから寄ってきたバージンキラーを
力場内のみでねじ伏せ、防御一辺倒に頼るしかない。





「チッ……ジリ貧は得意分野じゃねェんだよなァ……」


「……ねェ、由紀の同僚サン。
あいつら……なんか、移動し始めてないかィ?」


「え」




重力に押し潰されて(死んでないけどこれが轢死、)

脱落したバージンキラーはおよそ五体。




それ以外の視界を占めるバージンキラーは、確かに


どこかに吸い寄せられるように、集団で移動しようとしている。





今いる交差点の向こう、国木田や乱歩さんたちが


何とかしてくれている市民体育館の方向––––





「……親玉、とか」
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