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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第30章 Vermilion Bullet ……I





「何だ……、これは……!?」



外が異様に騒がしく、武装探偵社の社長……福沢が

その燃える街並みを見て 目を見開いた。




ぱちぱちと音を立てて火の粉が舞い散り

時折 燃え移った木々や建物が崩れ落ちる。




現実味がない。



大炎上しているのは車らしき影だが、

陽炎は燃え広がり街並みを焼き尽くしている。





「––––社長!」


「太宰か。 どう言う事だ?」




太宰の用事が終わったのか、はたまた消火のために舞い戻って来たのか
彼は借りていた宿舎近くの公園の脇から駆けて来た。






「車が突如 大爆発し、そして市民の八割が……
あの交差点の三つ先の市民体育館に避難しています。

体育館には国木田君と乱歩さんが、避難誘導を行っています」



「そうか……、残りの市民及びけが人を運んだのち、我々は消火活動に入ろう」


「了解」



社長が冷静に考え、指示を出す。

今この場に、人が足りない。




倒れている人や、まだ逃げきれていない人を早く––––……






「……倒れている、人……?」



ふと目を向けた先……


燃える街並みの道路や建物の下、眠ったように動かない市民が

目測 20人はいる。



何だこれは––––––




「社長! 向こうにも……!」


「何故だ……?」



急いで駆け寄り、脈を取る。

生きた温かみは、失われていない。





「むにゃ……、……が……でしょ……」



寝言がわずかに聞こえ、社長が眉を寄せた。


こんな火事現場で眠るなんて、普通の現象では有り得ない……






「……まさかね……」



太宰がその鳶色の瞳をきゅっと目を細めて、そう呟いた。





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