第28章 La Vierge…II
「三島––––」
「うん? どうしたんだい?」
幹部会議 終了後、モニタが切られてそこにいるのは三島と中也と菜穂子。
中也の方の部下は、片付けに回った。
「……手前ェ、ヤる気じゃねェだろうな」
中也の問い、彼の青い瞳は 射竦めるように三島を睨む。
三島はその刺さるような視線を笑顔で受け流して
しかしふとその紺色の瞳を伏せた。
「……どうだろうね。
この街を丸ごと焼却してしまうよりは、まだ望みのある手段だと思ったのだけれど」
三島の言い分に ついに中也の手が出た。
彼の 人間の常識離れした思考に嫌気が差したくらいでは、こうはならない。
でも––––でも、今回は。
三島の考え得る限りの手段が、減ってきたことが 見て取れてしまう。
自分がどうにかなってしまう代わりに、この街は救われる。
そんな手段が、美談が、悲しい別れ方が、三島は嫌いだったはずなのだ。
それなのに––––……!
三島の両肩を勢いよく掴む中也は、憎悪でも憐憫でもなく、怒りに震える。
この二人に友情はなく、だがしかし、確かにここだけの間で長年育まれた親愛とは別の色をした何かが爆発した。
「中也、無闇に僕に触ったら異能が……」
「ちょっ、中也様!?」
菜穂子の素が出た。
慌ててその手を、三島から離そうとする。
三島の怪我が悪化するような行為(殴打なんかも然り)を
しないという理性だけは中也に残っていた。