第28章 La Vierge…II
「–––– そんな、大それた……否、大事になる事なのですか」
「嗚呼」
国木田の顔が渋い。
眉間の皺が濃く刻まれ、与謝野女医も聞く体勢に入る。
嗚呼……もしかして、と。
太宰は目を細めた。
この方法を言い出した真冬という人は
どんな思考形式をしているのだろう。
こんな、こんなこと。
普通なら、思いつかない
「聞いても?」
「……嗚呼。
バージンキラーの異能効果は……『恒常性』だな」
「はい。
奴は、体温や内部器官を定められた数値を一定に保持する事が出来る……
だからこそ、周囲の変化に即座に対応出来る。
自分が死なないように」
嗚呼……そうか。
そういうことなのですか。
太宰の頭に唐突に浮かんだ、大それ過ぎた方法。
確かに、これは……この街を。
「つまり––––
この街を焼き打ちにする事で……
業火の"熱量"に対応したバージンキラーならば……
最後まで生きていられる。
そこを殺れば良い……と、な」
あの、花畑の彼なら、あるいは。
この街 一帯を、白昼夢で覆い尽くして侵食して、
眠らない人のみを見つけられるかもしれない。
彼の安全は、保証出来ないけれど。