第27章 La Vierge…I
「時間ですね」
ポートマフィア傘下企業の高層ビル、最上階。
幹部執務室及び 大会議室を設けた その階の景色の中、
マフィア本部のビルの中腹あたりが見える。
ポートマフィア本部のあのビルが高いだけなのか……
兎も角、大会議室に設えた 馬蹄形の円卓に幹部2人が座し、
後ろに控えた部下が 機器を点けた。
液晶パネルのような、極薄いホログラムの画面が展開する。
《久しぶり、三島君、中原君》
感度は良好である。
パネルに映り込んだのは、我らがポートマフィアの首領
森鴎外その人だ。
「お久しぶりです。首領」
中也が帽子を外し、そして三島と共に頭を下げる。
広い画面に、向こうの会議室が映し出されて、首領の玉座には彼。
そしてその彼を筆頭に 尾崎紅葉とAも招集されていた。
《じゃあ、幹部会議を始めようか》
「は」
ここで一旦、幹部とそれぞれの直属部下一名、準幹部以外は退室する。
幹部会議は秘匿性重大であり
一介の身分では居る事すら許可されない。
かくしてこの場にいるのは
幹部2名と 菜穂子と中也の直属部下1名のみとなった。
《バージンキラーの事だけれどね、拠点が発見されたよ。
情報元は 武装探偵社。》
……そうか。
やはり、この前 あの場に自分以外の異能力の気配があった。
あれは武装探偵社の者だったのか。
はち合わせなくてよかった。
無駄な殺し合いが起きていたであろうことは明白だった。