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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第27章 La Vierge…I


「幹部、もしかして今夜……

これを知っていて、連れて来てくれたんですか?」




今……

夜の帳もすっかりと落ちて、冷風が頬を撫でる深夜の川沿い

聞こえてくる 水音、空を埋め尽くす電線がないからとここを歩いていた。




「綺麗だろう?流星群。次の機会は五年後らしいから。」


振り向くことなく横を歩く三島幹部の紺色の瞳は

その流れ落ちる星を眺めている。




「東洋の逸話。

もしも織姫と彦星の 一年に一度きりの逢瀬の日に
雨が降ったなら……

そして、それが何年も何年も続いたとして
二人は想いあっていられると思うかい?」






––––それは、


人の心を持たない、持てない三島幹部が

きっと一生を賭けたとしても……理解し得ない事なのでしょう




私がこの場で『想いあっていられる』と言ったなら

三島幹部も『そっか』と そちらを肯定する。



けれど


『想いあっていられない』と言ったなら

それでも三島幹部は、『そっか』とその意見を肯定する……




判らないゆえの、皮肉めいた言葉



どちらの意見に染まっても

三島幹部は真意が判らない




だったら




「……想いあっていられると……思います」


そう言ったほうが きっと。




「……そっか」


三島幹部の安らぎになるのではないのでしょうか。






振り向いて笑った三島幹部へのこの想いが



尽きてしまう事が、あり得ないように。
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