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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第1章 荘厳にして、可憐




「真綿」



まわた。

花房 真綿。


それが、今、私の目の前で花嫁衣装を身にまとう彼女の名だ。




そして、私たちポートマフィアの…

最古参にして専属暗殺者 。




「貴様は美しい。

ほら… 笑え。

肩の力を抜くが良い。
どんな表情を浮かべていたとしても

等しく、美しい…」




どこかうっとりしているかのように、私の頬を伝う真綿の華奢な手。


純白の花嫁のベールが、赤く赤く染まっていた。




その美しさに身の毛がよだった。


息を飲むくらいにそれは荘厳でいて、美しい。




嗚呼–––– いつか私は、私のために、彼女を穢し尽くすのだろう。

何にも染まらない、だから真綿。





今は、それも赤い血に染まっていた。

その血にさえも、醜い嫉妬と嫌悪がわいた。



どうしようもないだろう?




「真綿… 戻ろう?拠点に…」

「嗚呼……」



私は、来ていた黒外套を脱いで、真綿にかぶせた。

たとえ血に染まっているとはいえ、他の人たちに……
凡百の人に、真綿の花嫁姿を見せたくない。



「ふむん… 治の匂いがする」

「当たり前だろう」



真綿を使った今回の暗殺のターゲットは、花婿だった。


今回の暗殺を成功させるために、森鷗外……
ポートマフィアの首領である森さんが

一年も前から真綿とあの男を近付けさせていた。



一年もの長いあいだ、真綿はあの男の花嫁として
その責務を全うしていたと思うと、本当に殺意が湧いてくる。




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