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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第26章 Scarlet Heart…III


真冬が

武装探偵社が滞在しているという宿舎に戻ってきたが、



「なっ––––!」


すぐにそんな声が響き、ばん!と真冬のいた部屋の隣の部屋の襖が開かれる。




「あるじ殿、ぼろぼろではないかや!」


「いや……深傷ではない。落ち着け、真冬」



ぼろぼろなのは一見して判る。

肌に傷はないが、社長の着物の端々が散り散りになっていた。



どちらかと言うと肌に生傷が入ったのは、獣と争った国木田だ……




「妾は正気だ。至極落ち着いている。
福沢殿が怪我など、珍しいと思って」


真冬が与謝野女医からカルテを受け取り、さっと目を通す。

骨や筋肉繊維に支障はない。




「斯く言う真冬も、大義であった」


「フ。あるじ殿に言われればね」



真冬が満足そうに微笑み、自分の頭をなでる福沢の手に寄り添った。

ゆっくりとしたその動きは、真冬の、穏やかに伏せった睫毛の影を揺らす。



「約束だったからな」

「覚えててくれたのさね。妾は嬉しい」



座布団に正座する真冬の長い黒髪が踊る。


同じく、真冬の真正面に座している福沢の銀髪とは、対照的だった。






「ところで……新入社員の事なのだが」


「ん……嗚呼……」




ゆっくり、その黒く濁る瞳が開かれる。



福沢の水銀色の目が、その燻みをじっと見据えた。





「なにがあっても、真冬は私の身内だと突き通すからな。」


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