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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第26章 Scarlet Heart…III




繭を真っ二つに切り裂くと、肉を断ち切る感触がした。




「……ハ。脆くて、 呆気ない……」




……懐かしい



ずっと忘れそうで、それでも どこか

頭ではなくこの体が覚えていた感触。



刃先が円環を描いて 刃が血に濡れて、ぐるりと放射状に血が散った。





汚れ仕事は、手慣れた物だった。

暗殺を生業にしているのだから、諜報や斥候もお手の物だった。



"外套と短剣"、暗殺者や間諜にこういう言葉が使われているのも皮肉である。





ぴたりと真冬が動きを止めた。




その耳が、微かな足音を拾う。


すぐに気配を殺し、感知されないように影に紛れる。




「…………」



無意識に糸を手繰る指に力が入り、袂から抜き身の刃を取り出す。


内側の襦袢に隠した鞘なしの刃物。

暗器として、そして実戦でも応用の効く飛び道具。




視界は良くないし、暗殺者は皆 夜目が利くから

この場で得手を取れるのはこちらだ。



でも……






「 ––––。」




真冬は、身を翻して反対側の勝手口に向かう。





視界の端、奥の方で


異能力の光がした気がした。

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