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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第26章 Scarlet Heart…III




一方、半日前。



「……チ、気味の悪い……」



ひらりと真っ白い着物の裾が、暗い通路に発光するように閃いた。

こつ、と軽量の足音が大理石の廊下に響き渡る。



ぼろぼろになった えんじ色の絨毯を踏んだ途端……

じゅく、と風化した物に水が染み込むような、押し出されるような音がした。



血液か。

えんじ色だから、紛らわしかった。




「……人間のさなぁ……これは」



血腥い雰囲気が彼処に漂い、劣化した木材の匂いもする。

すらりと鞘から武器を抜き、手近な小部屋から物色してゆく。




まるで廃病院の手術室のような 空気……


窓硝子は割れていて、カーテンも裂けている。

埃臭い、かび臭い、血生臭いときた。




「…………繭……?」


どす黒くて、蚕の繭のような、楕円形で天井から吊るされている部屋。

怪しげな紫色の光を細々と放つ、この雰囲気は……





「異能力」




異能力が発動するときに、文字帯が帯びる光。


それと、よく似ていた。




この部屋に収納されているこの繭玉の群は、幾つか破れている。

蛹の殻はもうない。





「こんな暗殺者に、倫理観も道徳も無いと思っていたのだが……


この光景は些か……人間としてのタブーさね」



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