第25章 Scarlet Heart…II
「えッ!?」
「えっ!?」
中也と菜穂子がまったく同じ反応をした。
重なった声に、三島が笑いを堪えている。
「ば、場所間違えました!?」
《あはは、それは大丈夫、心配は要らない。
僕の指示した住所の病院に行ったよね?》
「それは、はい、勿論」
菜穂子が安堵の息を吐く。
そもそも場所を間違えていたらこの男は今この車にいないはずである。
冷静になればすぐ判ったことなのに。
《嗚呼……そっか、知らなかったのか。
その警察病院は、大通りのゲリラ急襲を予測して分院化しているんだよ。》
中也たちが三島の指示で行ったのは一号棟。
《そして今 中也が言ってるのは、裏手にあるまったく別の二号棟だよ。
住所だって3桁目が違うだけの。
隣り合うビルは、爆破されにくいように高さを変えているのと同じ原理。》
これは、ポートマフィアのように
悪に身を置く者の基礎知識である。
ヨコハマにあるポートマフィアの本部高層ビルだって、四棟とも高さはばらばらだ。
それは、この考えに基づいている。
「なンだよ、吃驚させんなっての……」
「……確かに、この文面では どちらの事を言っているのか判りにくいです。」