第25章 Scarlet Heart…II
《はは。だろう?そのあたり、本当 政府は分け隔てないよね。
あと、上橋》
「はい」
中也が携帯を菜穂子に渡す。
シートベルトを締めて、黒服たちがバタンバタンとドアを閉めてゆく。
《今夜、少し出られるかい?》
「はい。三島幹部の仰せの儘に」
平坦な声で、それでも頷いて返答した。
しかし、今のままでは菜穂子の異能力に使用制限がある。
【獣の奏者】は、菜穂子の一存では、
緊急時以外は勝手に使用出来ない。
ただ単に、直属の上司である三島が『良し』と言えば使っていいというだけの制限。
「異能力の使用許可を」
《嗚呼。 勿論、存分に。》
要件を聞く、もしくは言う前に使用許可が出た。
何があっても使って良しということだ。
黒服の部下が運転し始め、車が発進する。
「何をすれば宜しいですか?」
《今夜、バージンキラーが沢山出る。想定では六人》
六も、と思うか
今までの一夜一人が甘かったのか。
「了解しました。
今夜は早めに、残らず処理しておきます。」