第25章 Scarlet Heart…II
「ふう……取り敢えずこんなものか」
一二、三……と目視すること六人のバージンキラーを無力化したのは良かったけれど……
本体、つまり此度の異能力者がこの異能に効きにくいと考えたのは、
異能力者に直接内部干渉するこの【仮面の告白】がバージンキラーのもつ"恒常性"に非常に効きにくいから。
故に、この場で立っているのが本体だと思った訳だが……
「あの夜、この異能力を間近に食らった別個体のバージンキラーは、そのまま少し経ったら起きたよね。
だから君たちもそろそろ起きてくる頃……」
その前に探さなければ。
六人の間を縫って、そのまま廊下を歩いて奥へと進む。
「……?」
瞬間、第六感ともいうべき直感が告げてきた。
どす黒い繭が並ぶ廊下はおぞましいが、これは……
「……先客かな」
どうやら僕よりも早くここを割り出した人がいたのか。
繭を無惨にも真っ二つに断ち切っていて、中身は……
これは死んでいるだろう。
切れ目は極細く、刃で切るような斜線ではない。
どちらかと言うと糸鋸とか、それこそ糸とか……
「嗚呼……成る程、そういうことか」
これでは、僕の手段では駄目だ。
三島は、繭から孵った六人を処分した。
しかし、これをした人は孵化する前のバージンキラーを繭ごと処分している。
と言うことは……
「うーん……不味い。失敗(しくじ)ったかな。
このままでは、今夜
『六人』のバージンキラーが出ることになってしまう」
結局 今夜、三島の予想の通りに
六人が出ることになったが––––。