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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第25章 Scarlet Heart…II




嘘も方便……とは言ったものだ。


息を吐くかのようにするりと口を吐いて出たのは、
限りなく真実に近い虚言。




「……ここか」



これがバレたら、きっと中也にものすごく怒られてしまうだろう……

そんな覚悟など、とうにしていた。





「んー……説却……どうしようかな……」




こつこつとゆっくりとした足取りで、彼はごく普通に進んでいた。


街を行く人のように、日曜日に出掛ける少女のように

ごく普通に。




影のようなどす黒い蚕の繭が

たくさん、おびただしく並ぶ廊下を、憚ることなく進んでいた。


一般人が見たなら、絶叫するような
少女が見たなら金切り声を上げそうな、グロテスクというに相応しい廊下を。




「……ある程度の目星はついているけれど……
さすがに、『一部屋』ずつ壊して進んでいる時間は……」


すっとその澱んだ紺色の瞳を、前方へ向ける。





「ない事くらい判っていたさ」




禍々しく煌めく、鉈の刃。

目視出来るだけでも、その数、五人。




「やれやれ……僕に肉体労働を期待しないで欲しいなぁ……



こっちだって、加減と言うものがあるのだから」





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