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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第24章 Scarlet Heart…I



時速三百キロだなんて、正直戦いたくない。



こちらが逃げたって九分九厘、十中八九 追いつかれて噛み殺されるのなら、
向こうが退きたくなるようにしなければならない。





「……噛み殺されるか、轢き殺されるか」

【––––Guuu––Rrrrrr……!】




獣が哮っている。

唸りをあげ咆哮をあげ、猛っている。




「––––……」

「––––ふッ」


張り詰めていた糸が切れた途端、双方が動いた。




縮地で獣の真下に潜るように掌底を放つ。



この異能生命体たる獣に防御能力はないのだろうか。

ならば、騎手の彼女ではなく獣を––––






振った太刀筋に月光が煌めく。



ぎぃん!と刃と刃がぶつかり合う音が空に散った。





「……だろうな。
獣が人間に御されるのなら、騎手の腕が良い者だ。

獣に防御能力がないのなら、人間が補うまでの事……」






自分の刀に噛み合ったのは、金属で出来た

手綱錫杖 だった。




自身の獣の腹を掻き切られる前に、その錫杖で食い止めたのだ。






「––––読めてます」




自分よりずっと頭上から、冷静な声が響いて来た。

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