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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第24章 Scarlet Heart…I




「––––」

「……社長、どう致しますか」




民家の屋根へと 跳び退った獣の毛並みが、月に浮かんでいる。



手綱鎖が引き戻ってゆく音を立て、

横一文字に錫杖を振るって戻る。




よく見れば、獣の体毛は
人体から噴き出したのであろう血を浴びた後だった。

黒ずみ、凝固している。





「私たちの先にも、誰かを屠って来ていたのか」


「…………」



一人と一体は何も言わない。

……私たちが言えることではないが。




–––– 結局、私と国木田の周りには

三つもの"死体"が転がっていた。




「勝つより、ここは逃げる方が得策だ」

「しかし、背を向ければ……」




先ほど顕現した《煙幕弾》をもう一度 書いても良いのだが

この相手に、手の内は見せてしまっている。


二度目が素直に効くとは思えない……





「––––貴方 方に会うより先に

実に三人ほどバージンキラーを処しました。


一夜だけでこんなに数多く沸いたのは初めてです」





三人。

こちらも、三人 討った。


連日一人のみだったのに、今夜だけもうすでに六人も……





「奇遇だ。

こちらも三人ほど牙を削いだ」




嗚呼、矢張り 戦うしかないみたいだ。





「–––– 奇遇です。

これで 四……五人の容疑者が消えます」




「ふ。………やってみると良い。

こちらも、これで四人目と一体を無力化出来る」





二人と、そして一人と一体が睨み合う。




風に靡かれ、夜空高く 舞った葉を切り裂いた。


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