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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第24章 Scarlet Heart…I



「……敵……?」





背の高い獣の首の毛を掴みながら、こちらを睥睨してきた騎手。



「……あの。
それを殺したという事は
多分……敵……ではない、のですよね……」


平坦で物静かな声が一定に響く。


頭上から声がしたかと思えば
獣がかがみ、その背を滑るようにして降りてきた女性。





「貴公は何者だ?」

「それを言う訳にはいきませんので。
申し訳ありません」


「……成る程、間者……或いは」




政府、あるいは司法省の回し者ならば

身分を訊かれて名乗らないのは愚策だし、名乗れないのはおかしい。



だとしたら––––




「……ポートマフィアか」




確かに、探偵社と異能企業は政府に与した。

ポートマフィアも、政府とは停戦中だ。



しかしそこに、どうして探偵社とマフィアが 争わないという事が言える?




政府も司法省も臭い物にはフタ、対岸の火事など視界にも入れない。

探偵社とマフィアが争ったとしても、その重い腰を上げることはないだろう。





「…………」



一度 納めた刀に手を掛ける。





すでに相手はいつの間に戻ったのか、獣にまたがり



いつでも飛び掛かれるように前方斜傾の体勢をとっていた。


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