第24章 Scarlet Heart…I
「––––私が得意としているのは立居合だ……
座している時ならまだしも、立ちでの剣で私に敵うと思うな」
どさりと音を立てて影が血溜まりに倒れ伏した。
居合、片膝をついたまま鞘から刀を抜く。
立居合だから、座居ではなく立ち居からの所作。
抜いてから構えるのではなく、抜くと同時に切り付ける抜き打ちは
かつて、そして現在の真冬の得意技である……
「これで一人目だ」
表情を引き締め、二人が体勢を整えた。
殺気を読み、利き手が柄に掛かる。
しかし、真冬が読んだ通り……
相手が、操られるままの人形なら殺気が無い。
自我がないのだから。
「説却……、今夜だけで何人が仕留められるか」
「ヨコハマの夜も物騒になりましたね」
そう言い、二人共が地を蹴って、影へと手を掛けた。