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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第24章 Scarlet Heart…I



「成る程……
バージンキラーが複数人いるかも知れない……と」




その日の夜、時刻は間も無く午前零時を過ぎる頃だ。
雨が降っていないため月だけで夜の街は明るいが、かわりに人はいない。


今日の夜の見回り番は福沢と国木田である……




「しかし……複数人とは雖(いえども)

乗り移るたびに個体差があるのは
バージンキラー本物としては不本意なんじゃないですか?」



「嗚呼……あるいは、意識だけ乗っ取って仕舞って、
バージンキラーは高みの見物という可能性もある」



月が高い。

二人の影が延びる。






「––––……」



目を細めた社長が、腰の太刀の柄尻に手の平を当てて
そのまま上方へと抜刀した。



すぱっと風切りの音が空砲のように辺りに響き、木の葉が一枚

真っ二つに斬り落とされた。





「……出たな」


ひらりと風に揉まれて半分になった葉が左右に散る、拓けた中央にそれはいた。




「……」

「な……、気配が何も……!?」




月光に照らされて禍々しいほどに全反射する鉈の刃。

真新しい刃物というのは、一見して判るものだ。



まめな手入れを重ねれば、長年使っている刀とて新品と遜色ないくらいに斬れる。

ただ、見た目というのはそういう範疇ではないのだ。

刃紋や波の具合が。





「国木田、手帳の準備を」


「はい」



「ここで仕留めるぞ」

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