第24章 Scarlet Heart…I
どう言う事だ。
––––「面会謝絶……!?」
「はい……。大変申し訳ないのですが……」
ヨコハマ総合病院……ではなく、ここは警察病院である。
病院特長の真っ白い受付カウンターでは
困り果てて居る受付嬢と 国木田が話し合っていて、
幸い病人は少ないものの 彼の声はよく響いた。
「なんとか、話を聞くだけでも良いんですが」
「それも申し訳有りません。
ここだけの話 上が買収されたようでして、警察官の方の身柄を引き渡してほしいとのことで……」
「それで、渡してしまったのですか!?」
下は下なりに頑張って上を支持するしかない。
それは、諦めた者の手段だ。
言って仕舞えば、警察病院は公共施設である。
それをこんなにも堂々と買収する組織など、このヨコハマでは一つしかない……
「ポートマフィア……か」
「……あ、社長もやっぱりそう思う?」
福沢が難しい顔で唸り、乱歩は急いで次の手段を考え得る限りを尽くす。
はっきり言って、ポートマフィアに先手を打たれたのはかなりの苦渋である。
彼らの権力は凄まじく、日本という国の組織たる司法省でさえ
ヨコハマという一つの県の中の街にいる組織に
手を焼いているのだから。
「成る程、絶妙なタイミングで先手を打たれましたね」
太宰の目も、笑ってはいられない。
何せ相手はポートマフィア……
頭が回る戦闘要員など、二人……
否、頭脳戦特化という意味でなら
一人しか知らない、加えて "あの" 花園の彼が外に出ているわけがない。