第24章 Scarlet Heart…I
車が赤信号で止まった。
刻は真冬との電話の後、夜が明けて明朝10時。
昨夜はバージンキラーは出没しなかったと
政府からは伝達が来たが、それが真実かは判り得ないところだ。
道路を走る大きなバンには、運転席に国木田と
助手席に社長、後部座席に乱歩、太宰。
その後ろに与謝野がいる。
本来、いつもなら与謝野の隣に真冬が居るわけだが……
「真冬、退院出来たってね。
すぐに合流したいんだけど、そうも行かないみたい」
「なんで?」
乱歩がお菓子を食みながら言うと、与謝野が後ろから声を掛けた。
「真冬からの頼みだよ。
先に僕たちに済ませて来てほしいものがあるんだって。
ほら、今回のこの一件って
僕たち探偵社以外にも色んな異能企業が尽力してるでしょ?」
尽力とまではいかなくても、あのポートマフィアでさえ
政府とか司法省とかとは停戦状態らしいし……
「ま、ポートマフィアにとって縄張りであるヨコハマを
荒らすこのバージンキラーは看過出来ないものだし」
「それで……頼みごとッて?」
乱歩がふふん、と笑った。
「バージンキラーに襲われたあの警察官の男に面会してほしいってさ」