第23章 Garden of Daydream…IV
「––––はは」
薄く笑った三島幹部が目を細める。
何を考えているのか、何を思っているのかが全く判らない……
拒絶されるのが怖かった。
要らないって弾かれてしまうのが。
私は結局、その存在にすがっておきながら、
優しさに漬け込むのだ……
「……嗚呼、成る程。
僕の優しさを信じての行動か」
「きっと三島幹部は、私を……
感情をひとり勝手にくれる分には、女性を拒絶したりしない……
そう結論付けて漬け込む私は、他の女性と同じなんだと思います」
そうだとしても……
無意味な想いをしても、叶わずにほつれて果ててしまっても
『三島幹部のためになるのなら』。
そういう考えを持つ人が、どれほど彼に迷惑を及ぼすのか。
口優しく、綺麗事として済ませてしまうことが如何に悪なのか。
「それは違う」
「え……?」
思いがけずそんな言葉が三島幹部から発せられて
急ぎの用事を引き止めてしまっているのにも拘らず、
三島幹部は完全に私を振り向いてくれた。
「上橋は、違うよ。
君はちゃんとそれを判っているだろう?
その想いの自己完結が、どれくらい僕の"ため"という迷惑になるのか……って」
あ、と思った。
今の三島幹部は、女性としてではなく
一人の人間を相手として言ってくれている。
それが嬉しかった。
大勢いる、女性という括りから
抜け出せたような気分になっていた自分。
優しくて甘やかな響きに惑わされない、彼 本来の言葉。